2015年10月25日

保釈と仮釈放の違いについて(法律用語)

1 保釈と仮釈放についての誤解

「刑務所に入っても、何年かすれば保釈されるのですよね?」
「仮釈放にならないまま、刑務所に入ってしまうのでしょうか?」

このような質問を受けることがあります。

いずれも保釈と仮釈放の意味を正しく理解していない質問ですが、多くの方が、その違いを理解していない印象を受けます。


2 保釈・仮釈放の意味

簡単に言うと、

保釈とは、被告人(起訴された人)が勾留されている場合、保証金を納めること等を条件として釈放すること、

仮釈放とは、実刑判決が下り、刑務所に収容されている人を、刑期が満了する前に仮に釈放すること、

を言います。


要するに、保釈は、起訴されて裁判が終わっていない被告人が対象であり、仮釈放は、実刑判決を受けて刑務所に入っている受刑者が対象であり、適用場面が全く異なる制度です。

もっとも、どちらも身体の拘束から解放される点、保釈中に逃亡するとか、仮釈放中に違法行為等をすれば再び身体を拘束される点は共通しています。


3 保釈と仮釈放の運用実態

ところで、運用実態については、特に誤解されているように思います。

まず、保釈についてですが、

保証金さえ納付すれば保釈されると思っている方が多い印象を受けますが、そのようなことはありません。

逃亡の恐れ・証拠隠滅の恐れがあれば、認められず、最近は保釈率が高くなったとは言え、平成26年のデータでは、保釈が許可されたのは24%程度ですから、多くは保釈されていないというのが実態です。

ちなみに、これも誤解されていることですが、保証金は、保釈の条件に反せず保釈取り消しにならずに裁判が終われば、有罪であっても返還されることになります。


次に、仮釈放ですが、

無期懲役になっても、数年で仮釈放されて出てきてしまう、というコメントをネット上ではチラホラ見ますが、そのようなことはありません。

例えば、平成26年のデータを見ると、そもそも無期懲役受刑者の内、仮釈放が許可された割合は、審理を受けた人の内16.7%しかなく、また、許可された人が刑務所に在所した期間の平均年数は、31年4ヶ月間になっています。

有期懲役の最長刑が30年になったこともあり、無期懲役受刑者に対する仮釈放の運用は非常に厳しく、数年で仮釈放などということはないのが実情です。



今日は、保釈と仮釈放という刑事事件に関する法律用語をご紹介致しました。

契約書の作成、会社のトラブル、離婚、相続、借金問題など、比較的身近で発生している法律問題でも、その法律用語を正しく理解することは難しいはずですから、刑事事件については、その意味を理解していなくても仕方がないように思います。

しかし、いつどこで自分や家族、友人知人が事件に巻き込まれるか分からない時代ですし、刑事事件については、裁判員裁判の裁判員として関わる可能性もあります。法律用語も基本的なものは知っておいて損はないと思います。



白土文也法律事務所は、遺言・相続などの個人の法律問題、中小企業・ベンチャー企業の法律問題を中心に取り扱っております。
調布・稲城・多摩・府中・狛江・三鷹など多摩地域・京王線京王相模原線沿線、世田谷区・杉並区その他の東京23区、川崎市その他の神奈川、埼玉、千葉、茨城県その他の関東各地からの法律相談を受け付けております。
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posted by bunya-shirato at 10:05| 法律用語

2015年08月09日

被告と被告人の違い

テレビのニュースなどでは、刑事裁判で起訴された人のことを「被告」と呼んでいることが多いですが、法律用語としては正確ではありません。
 
正確には、「被告人」と言います。

一方、民事裁判で訴えられた人は、「被告」と言います。

そして、刑事裁判の当事者は、起訴した「検察官」と起訴された「被告人」であり、被告人が有罪か否か、有罪だとしてどの程度の刑罰を課すべきなのかが審理の対象になります。

それに対し、民事裁判の当事者は、訴訟を提起した「原告」と訴訟を提起された「被告」であり、原告と被告間における権利義務の存否やその具体的な内容などが審理対象になります。


 ニュースでは、「被告人」のことを「被告」と呼ぶせいか、民事裁判の「被告」になったことを、刑事裁判で起訴されたのと同じような印象を持ってしまう方もいるようです。
 
 しかし、上に述べたとおり、「被告」とは、民事裁判の一方の当事者に過ぎず、刑事裁判の当事者とは全く異なります。
 
 
今日は、被告と被告人の違いについて説明しましたが、誤って使われている法律用語や日常用語と異なる意味で使われている法律用語は、他にもいろいろとありますので、今後も紹介していきたいと思います。



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posted by bunya-shirato at 19:54| 法律用語