2016年03月27日

預金の遺産分割

最近(平成28年3月23日)、預金が遺産分割の対象か否か争われていた事件の審理が、最高裁の大法廷へ回付されたというニュースがありました。

現在、預金は遺産分割の対象外ですが、預金も遺産分割の対象とする旨の判例変更が行われる可能性が出てきたことになります。


ところで、預金が遺産分割の対象外ということを知って驚かれる方も多いのではないでしょうか。


実は、現在の最高裁判例によれば、預金は、被相続人が亡くなり、相続が開始した時点で、法定相続分に従って当然に分割されるものと解釈されており、原則として、遺産分割の対象とはなりません。

実際の遺産分割協議や遺産分割調停において、預金も含めて遺産分割がされることが多いと思いますが、それは、当事者が、(意識しているか否かは別として)預金を遺産分割の対象とすることに合意しているためです。

東京家裁の遺産分割調停の待合室では、ビデオを流して、遺産分割調停の流れについて解説していますが、そのビデオでも、預金は原則として遺産分割の対象にはならず、当事者が対象とすることに合意をした場合に、遺産分割の対象とすることが出来るという解説をしています。


また、本来、現在の最高裁判例に従えば、預金は当然に分割されているため、各相続人が個別に預金の引き出しが可能です。

もっとも、金融機関によって対応は異なるものの、預金の相続手続きをする際、金融機関から遺産分割協議書等の書類の提出を求められることがほとんどだと思われます。
金融機関が相続争いに巻き込まれるのを回避するためにこのような取り扱いになっているのです。

このような扱いを当然だと思われている方が多いと思いますが、本当は、最高裁の判例とは異なる扱いが、各金融機関によって行われているのです。



以上のとおり、現状は、最高裁判例と実務の取扱にずれがある状況です。



最高裁がどのような結論を出すのか注目していきたいと思います。




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posted by bunya-shirato at 16:20| 相続

2015年08月30日

未成年者が相続人の場合

1 遺産分割協議は全員の合意が必要

被相続人が遺言書を作成していなかった場合、または、遺言書を作成していても、遺言書に記載されている以外にも相続財産がある場合、相続人間で遺産分割協議をする必要がありますが、遺産分割協議は、相続人全員で行う必要があり、全員が合意しないと成立しません。

もっとも、相続人の中には、自分自身で遺産分割協議に参加できない者もいます。
具体的には、未成年者、認知症の方、不在者などですが、今回は、未成年者について解説したいと思います。


2 未成年者の法律行為

まず、未成年者の法律行為については、原則として、親権者の同意が必要か、親権者が法定代理人として法律行為をする必要があります。

そして、遺産分割協議も法律行為の一つですから、親権者の同意を得ておくか、あるいは親権者が法定代理人として遺産分割協議がなされる必要があるのです。

  
3 利益相反

もっとも、未成年者が相続人のケースでは、その親権者も相続人である場合が多いように思います。
例えば、被相続人が父親、相続人が母親と未成年者の子供というケースです。

結論から言うと、このような場合、親権者である母親は子供の法定代理人として遺産分割協議に参加出来ないのですが、仮に、遺産分割協議に参加できるとした場合、どのような問題が生じるのでしょうか。

母親は、自分自身も相続人であるため、自分自身と子供の法定代理人という二つの立場を有することになり、自分が相続財産をより多く取得すれば、子供が取得する相続財産は少なくなるという問題が生じるのです。

いわゆる利益相反の関係です。

そこで、相続人に未成年者がいる場合において、その親権者も相続人である場合は、親権者は法定代理人として遺産分割協議をすることは出来ないとされています。

その場合は、家庭裁判所で特別代理人を選任してもらい、その特別代理人が未成年者に代わって遺産分割協議をすることになります。

また、親権者は相続人ではないものの、未成年者が複数いる場合も特別代理人の選任が必要です。複数の未成年者の法定代理人を兼ねてしまえば、やはり利益相反になるからです。 
  
なお、利益相反か否かは、外形から形式的に判断しますので、遺産分割協議の内容が実質的に公平になされるとしても、特別代理人の選任が不要になるわけではありません。

そして、特別代理人の選任が必要にもかかわらず選任せずになされた遺産分割協議は無効と解されていますので、注意が必要です。


今日は、相続人に未成年者がいる場合について解説致しました。




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posted by bunya-shirato at 11:43| 相続