2015年05月17日

相続が争族になる場合(寄与分、親の世話・介護をした相続人がいる場合)

1 身の回りの世話をした相続人対その他の相続人

人が原因で相続が争族になる場合の一つとして、相続人の誰かが被相続人の身の回りの世話をしていた場合があります。
 
例えば、親である被相続人と同居していた長男が、長年にわたって親の身の回りの世話をし、弟や妹が、遠方で暮らしているという状況はよくあることです。

このようなケースでは、自分は親の世話のためにやりたいことも犠牲にして我慢してきたのだから、その点を評価して欲しい。具体的には、他の兄弟姉妹よりも遺産を多く取得したいという主張が、長男から出てくることがあります。

それに対し、遠方で暮らしていた相続人からは、長男に対して、同居して金銭的にも援助を受けていたのだから身の回りの世話をするのは当然だという主張が出てくることがあります。

まさに、立場が変われば、見方が変わるという典型的な例です。
 


2 寄与分

これは、法的には、長男に「寄与分」が認められるのか、という話です。

身の回りの世話をしたのだから寄与分は認められるはず、認められないなんてありえないというのが、もしかすると世間一般的な考えかも知れませんし、少なくとも長男の立場に立てばそのような考えになるのでしょう。

しかし、身の回りの世話をしたからといって「寄与分」が認められるわけではありません。

 

3 寄与分が認められるには

民法第904条の2  
「共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、・・・・」

民法は、寄与分についてこのように定めています。
つまり、財産の維持又は増加という形で特別の寄与をしていなければならないということです。

したがって、夫婦間の協力義務や親族間の扶養義務の範囲の行為では、寄与分とは認められず、例えば、相続人が、扶養義務の範囲を超えて介護したことにより、介護費用が節約出来たと言えるようなケースでなければなりません。


寄与行為と財産の維持又は増加との間に因果関係が必要なのです。

 
なお、上に引用した条文からも分かる通り、寄与行為には、介護のような療養看護型以外に、事業従事型、出資型その他の類型が認められています。


4 弁護士・裁判所泣かせ

このように、寄与分は、世間一般に考えられているのとは異なり、寄与行為と財産の維持又は増加の間に因果関係が認められなければならず、実は、その点が、弁護士としてやっかいでもあります。

法的な考えと、世間一般の考えにズレがあり、親の世話をした立場の相続人から相談を受けた場合、その説明をしても、すぐには受け入れてもらえず、中には、弁護士のせいではないにもかかわらず、弁護士に怒りをぶつける方もいるのです(相続問題に限らず、その他の問題でも、自分が不利だと知ると怒りを弁護士や裁判所にぶつける方は多々いらっしゃるのが実情ですが・・・)。

この点は、裁判所の立場に立てば分かると思います。

金銭的に評価出来ない寄与行為まで考慮しようとすれば、何を基準に特別な寄与があったと判断すればいいのか難しいことになりますが、裁判所にそのような判断を求めるのは酷ですし、それこそ不公平な判断がなされるリスクも出てくるはずです。


今回は、人が原因となって相続が争族になる場合として、寄与分の話をしました。
寄与分の判断は難しいので、弁護士に相談することをお勧めします。




白土文也法律事務所は、遺言・相続などの個人の法律問題、中小企業・ベンチャー企業の法律問題を中心に取り扱っております。
調布・稲城・府中・狛江・三鷹など多摩地域・京王線沿線、世田谷区その他の東京23区、茨城県、神奈川、埼玉、千葉その他の関東各地からの法律相談を受け付けております。
※特に、出身地の水戸・ひたちなか市周辺へは出張相談も積極的に行ないます。
詳しくはこちらまで
http://www.shirato-law.com/




posted by bunya-shirato at 11:17| 相続