2015年03月08日

不動産を共有で相続出来る?そのデメリット

 遺産分割において、不動産を共有のままにする場合があります。

 以前の記事でも解説しましたが、不動産はその性質上、分けることが困難な財産であるため、とりあえず共有状態で相続しておこうという場合です。
 
 不動産の分割方法について協議がまとまらない場合、遺産分割調停を申し立てることも可能です。
 しかし、親族間での争いは出来るだけ避けたく、そこまでする必要もないということで、相続人間の合意で、とりあえず共有のままにしてしまうこということは、理解できなくもありません。
 また、共有持ち分を得られるのであれば損はないということで、そもそもあまり考えずに共有のままにすることもあり得るでしょう。

 なお、共有のままにしておくことも、遺産分割の方法の一つとして認められており、遺産分割審判でもそのような審判が下ることもあります(遺産分割調停が成立しなかった場合、遺産分割審判手続きに移行すると、遺産分割について裁判所が判断することになります)。

 もっとも、共有取得による分割は、遺産分割をしたことにはなるものの、共有状態である点に変化はなく、他の共有者の同意がない限り不動産を売却できないなど、共有であることによる様々な制約が残ることになります。
 つまり、問題の解決を先送りしているだけとも言えるのです。

 実際、遺産分割審判において、共有取得による分割は、現物分割(物を分ける方法)、代償分割(誰かが取得して、その代わりに代償金を払う方法)、換価分割(売却してお金を分ける方法)が相当でなく、共有する者の間に感情的な対立がない場合に選択される方法とされており、感情的な対立がある当事者間では許されないとする審判例もあるようです。

 過去に私が経験した案件でも、一旦は共有取得による分割をしたものの、後に共有者である兄弟間で争いになり、数年にわたって共有物分割訴訟をした事例があります。
 ちなみに余談ですが、この事例では、問題となっていた土地とその上の建物について、建物の区分所有登記を行い、土地も分筆登記をした上で、実際に建物を壊して現物分割をするという例外的な解決を図りました(法律上は、現物分割が原則になっていますが、実際には現物分割が出来ない財産は多いです)。

 このように問題の先送りになってしまうリスクがありますが、問題はそれだけではありません。
 共有状態のままにしておくと、共有者それぞれについて相続が発生する度に共有者の数が増えていく可能性が高く、時間が経てば経つほど面倒が増えることにもなるのです。

 
 以上のように、共有取得による分割は、問題の先送りになりかねず、後の世代へ面倒を押し付けることにもなりますので、選択する際には慎重にすべきだと考えます。
 なお、今回解説したのは、遺産分割協議に基づいて共有取得による分割をしたケースについてであり、遺産分割協議をせずに保存行為として法定相続分に基づいて共同相続登記をするケースではありませんので、注意して下さい。
 遺産分割前に保存行為として共同相続登記をしただけであれば、遺産分割はされていない状態ですから、その後、遺産分割協議をすることが可能です。



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posted by bunya-shirato at 14:08| 相続