2015年03月01日

弁護士報酬は高い?高くない?

 世間的には弁護士報酬は高いと思われているようですが、本当に高いのでしょうか?
 弁護士報酬は、お客様の側からすれば高く、弁護士の側からすれば高くはないというのが真実だと思います。

 
 まず、お客様側から考えてみます。
 最近は、初回の相談料を無料にしている法律事務所もありますが、一般的には、30分5,000円が相場だと思います。
 また、実際に事件の解決を依頼する場合、最初に支払う着手金は、(事件によって大きく幅がありますが)大体数十万円以上というのが相場でしょう。
 30分話しただけで5,000円、実際に依頼する際には、自分の月給以上の支払いをしなければならないことになりますから、普段の生活費や可処分所得を考えれば、高額な支払いであることは間違いありません。
 
 つまり、他の生活費や、可処分所得からすると高額な支払いであり、お客様が弁護士報酬を高いと感じるのはこのような観点から考えているからです。

 
 一方、弁護士の側からすると、大分異なった見方になります。
 まず前提として、その金額全てが自分の所得になるわけではなく、そこから、事務所家賃・人件費その他の経費を支払う必要があります。

 日本の法律事務所の経営形態で最も多くを占めている弁護士一人事務所の場合、大体1ヶ月80万円〜100万円程度の経費がかかると言われているようです(もちろん、自宅で開業すれば安くなりますし、事務員の人数や地域によって幅があります)。
 つまり、相談料や着手金などの弁護士報酬から、1ヶ月80万円〜100万円の経費を差し引き、その残りが弁護士個人の所得になるわけです。

 仮に、1ヶ月の経費が100万円かかるとして、弁護士自身の取り分を60万円確保したいとすると(そこから税金その他社会保険料が引かれますので、手取りはもっと少なくなります)、1ヶ月160万円以上の売り上げがないと赤字になってしまいます。
 1日8時間、1ヶ月20日間の業務と仮定すると、売上160万円を達成するには、時給1万円は確保する必要があります。

 そして、とても重要な点ですが、弁護士は、大量生産して大量に販売するという商売ではなく、お客様の要望に応じてオーダーメイドで商品を作る仕事と同じだということです。
 当然、ある事件の仕事をしている時間は、他の事件の仕事は出来ません(特定の依頼者のために一生懸命やろうとすれば、他のお客様の案件には時間を割けないだけでなく、タイムチャージで報酬を貰う場合を除き、時間当たりの報酬額も小さくなっていきます)。

 実際、お客様との打ち合わせ・法令調査・証拠の分析・書面の作成・出廷・その他移動や事務作業によってあっという間に数十時間を超え、着手金数十万円を頂いても、簡単に時給1万円を下回ることになります。
 つまり、事務所を維持し、生活をしていくためには、相談料30分5,000円、着手金数十万円は最低でも欲しい金額だということです。

 以上の通り、弁護士の側からすると、お客様が高いと感じる相談料も着手金も、決して高くはないということになります。

 
 最後に、弁護士は国家資格を持っていますが、公務員ではなく事業者です。そして、弁護士業務はオーダーメイドの性質を有していますので、弁護士報酬を安くしようと思っても、そこには限界があります。弁護士側の事情を知って頂き、弁護士選びの参考にしてもらえればと思います。


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posted by bunya-shirato at 18:13| 弁護士の仕事