2015年01月18日

相続が争族になる場合(自宅以外にめぼしい財産がない)

今回から争族になる可能性の高いケースを紹介致します。
まずは、自宅の土地建物以外にめぼしい財産がないケースです。
相続に関する本・雑誌などで、必ず紹介されているケースですので、皆さんも聞いたことがあるのではないでしょうか。

話を分かりやすくするため、ケースを仮定してみます。
亡くなった親(被相続人)が残した財産が、自宅の土地と建物と、それ以外には預貯金があるものの、土地建物の評価額と比べて小さい(例えば、不動産の価額が5,000万円、預貯金が500万円)ケースを考えます。また、相続人は、被相続人と同居していた長男と、遠方に生活している次男の2人と仮定します。

この場合、なぜ争族になる可能性が高いのでしょうか。
遺言がない場合、相続人間で遺産分割協議をする必要があります。
今回のケースでは、同居していた長男にとって自宅の土地建物は生活の場であり、引き続き住みたいと思うのが通常です。従って、長男としては、自分が自宅の土地建物を相続する代わりに、預貯金500万円を次男に相続させたいと考えるはずです。

一方、次男の立場に立てば、長男が5,000万円の不動産を相続するのに対して、自分は500万円しか相続できないわけですから(法定相続分に従って2分の1ずつ分けるとすると、2,750万円もらえるはずが、500万円しかもらえないわけです)、長男の提案に対して反対するのも理解できます(もちろん、仲の良い兄弟で、争族にならないケースもあるでしょう)。

このケースで、自宅の土地建物を売却できれば、後は、お金を2人で分ければいいのですが、同居していた方の中には、売却にはどうしても同意できないという方もいらっしゃいますし、心情的には理解できる面もあります。
また、売却しなくても、長男自身が自分の預貯金から2,250万円を捻出して、次男に渡すことが可能であれば問題になりませんが、一般の方で2,250万円を捻出することは、なかなか大変なことです。

このケースでは、主な遺産が不動産であり、相続人の一人にとって生活の場であるため金銭に変えることが困難、また代償として次男に渡すお金がないことが解決を困難にしています。
 以上のとおり、自宅の土地建物以外にめぼしい財産がない場合、争族になる可能性があるわけですが、このケースは決して珍しいわけではなく、よくあるケースです。
 なぜなら、日本人の保有する財産の多くを自宅の土地建物が占めているからです。
 
 ちなみに、相続税については、相続人が被相続人と同居していた場合などについては、小規模宅地の特例という制度を使うことで、土地の相続税評価額が、8割減になる場合が多く、今回のようなケースでは、相続税が課されない可能性が高いと思われます。
 
しかし、相続税は課されないものの、兄弟間で争族に発展する可能性があるのです。
決して他人事ではないはずです。

 次回も、引き続き、争族になる可能性があるケースを紹介する予定です。
posted by bunya-shirato at 17:47| 相続