2015年07月26日

エンディングノートや遺書と遺言書との違い

1 エンディングノート、遺書について

相続対策の重要性や終活が話題になっていることもあり、エンディングノートという言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。

また、遺書という言葉もニュースなどで耳にすることがあります。

どちらも、残された家族などに自分の思いを伝えるものとされています。

では、エンディングノートや遺書と、遺言書は同じものなのでしょうか。

勘違いされている方も多く、実際、遺言書の作成の相談の際に「イショ」を作成したいとご相談される方もいます。

しかし、エンディングノートや遺書と、遺言書は全く異なるものです。


2 遺言書との違い

エンディングノートや遺書と遺言書とが決定的に異なる点は、遺言書は、財産や法律上の身分関係について法的効果を発生させるのに対し、エンディングノートや遺書は、なんら法的効果を発生させないという点です。

手続の観点から言えば、民法の遺言の制度に従って作成されたものが遺言書であり、エンディングノートと遺書はそのような法的な制度に従って作成される文書ではないということも出来ます。

また、遺言書を作成するためには、遺言能力が必要であり、15歳以上でなければ作成出来ませんし、認知症の疑いなどがある高齢者が作成する場合には、遺言能力がないとされてしまうこともあります。

このように遺言書は、法的に厳格な要件に従って作成することが求められているため、後に、遺言無効確認訴訟が提起されることもありますし、また、法的な効果が発生するため、遺言内容が共同相続人の遺留分を侵害しているとして、遺留分減殺請求訴訟が提起されるなど、遺言に関して争いが発生することもあります。


3 遺言書を作成するのか、エンディングノートを作成するのか
  

以上のとおり、エンディングノートや遺書と遺言書は全く別物です。

もし、財産や身分関係について、法的効果を生じさせたいと考えているのであれば、エンディングノートで思いを書き綴っておいたとしても、法的には何の効力も生じません。

そのような場合は、民法上の手続きに従って、遺言書を作成する必要があります。

そして、遺言書を作成する場合には、手続きや遺言能力、その内容に関して、後々、訴訟に発展することもありますので、専門家に相談するなど、時間をかけて十分に検討することが大切です。



白土文也法律事務所は、遺言・相続などの個人の法律問題、中小企業・ベンチャー企業の法律問題を中心に取り扱っております。
調布・稲城・多摩・府中・狛江・三鷹など多摩地域・京王線京王相模原線沿線、世田谷区・杉並区その他の東京23区、川崎市その他の神奈川、埼玉、千葉、茨城県その他の関東各地からの法律相談を受け付けております。
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posted by bunya-shirato at 22:20| 相続(遺言書)

2015年07月19日

訴訟費用と弁護士費用の違い

1 訴訟費用についての誤解

1 被告は,原告に対し,金100万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決並びに仮執行の宣言を求める。


訴状の冒頭部分には、このような記載がありますが、この部分は、「請求の趣旨」と呼ばれ、原告が求める内容が記載されています。

この請求の趣旨のうち2の「訴訟費用」ですが、「弁護士費用」と誤解をしている方が多くいます。

原告側の代理人弁護士として訴状を作成し、依頼者に見せると、「弁護士費用も相手に払わせるのですね!」と誤解されることがあり、
一方、被告側の相談に乗った場合は、「いわれのない訴訟を提起されただけでなく、弁護士費用まで払わせようとしている。許せない」などと相談されることがあります。

しかし、「訴訟費用」と「弁護士費用」は、いずれも裁判に関する費用ではありますが、別物です。



2 訴訟費用とは

では、「訴訟費用」とは、どのような費用なのでしょうか。


「訴訟費用には,訴状やその他の申立書に収入印紙を貼付して支払われる手数料のほか,書類を送るための郵便料及び証人の旅費日当等があります。」

裁判所のHPには、このように記載されています。


つまり、訴訟費用は、

訴状に貼付する収入印紙代
訴状提出時に裁判所へ予納する郵便切手代
証人の旅費日当代
その他

など裁判所に納める費用であり、そこには、弁護士費用は含まれていません。

なお、実際には、証人が旅費日当を請求しないことが多いなど、ほとんどの訴訟においては、訴訟費用とは、収入印紙代と郵便切手代のことだと考えてよいと思います。

ちなみに、収入印紙代は、
例えば、
100万円の訴訟を提起する場合で1万円
1,000万円の場合で5万円
1億円の場合で32万円
などとされています。

また、予納する郵便切手代は、東京地裁で民事訴訟を提起する場合は、原告・被告それぞれ1名の場合で6,000円です。



3 訴訟費用の負担のルール

冒頭で記載した通り、訴状では、「訴訟費用は被告の負担とする」と記載するのが通常ですが、実は、訴訟費用は敗訴者が負担するということが、法律で定められています。

民事訴訟法61条
「訴訟費用は、敗訴の当事者の負担とする。」



4 まとめ

以上の通り、訴訟費用とは、弁護士に払う弁護士費用とは全く異なります。
また、訴訟費用は、敗訴した者が負担するというのが原則とされています。
なお、弁護士費用については、相手方に負担させることが可能なのかということについては、詳しくは後日解説したいと思いますが、原則としては、自分で負担するものと解されています。



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posted by bunya-shirato at 08:28| 裁判の話