2015年04月26日

相続手続きは本当に簡単か?自分でやると意外と難しい

1 簡単に出来る場合

「相続手続きは自分でやってみよう」「専門家は必要ありません」
最近はどこもかしこも相続の話題ばかりですが、雑誌や本の中で、このようなフレーズを目にすることもあります。

相続人が、配偶者と子供だけ、または、子供だけ。財産は、自宅の土地と建物、現金・預貯金のみ。
 
仮に、このような状態であれば、容易に手続き出来てしまうことは多いと思います。
最近は、法務局も親切なので、登記の仕方も説明してもらえますし、預貯金の手続きも金融機関の説明に従えば問題ありません。



2 相続手続きの難しさ

しかし、相続手続きが常に簡単だというわけではありません。

例えば、最初に行うべき相続人の調査。
被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍を取り寄せて、相続人を確定しなければなりません。これがとても大変な場合も。

(そもそも、法定相続人の確定をせずに、知れている者だけで、遺産分割の話をすすめようとするご家族も多いのが現実。思わぬところに相続人がいる場合もありますし、いずれにしても戸籍は手続きを進める上で必要ですから、必ず、相続人の調査を行ってください。)


取り寄せるべき戸籍が何通もある場合
古い戸籍の手書きの文字が解読困難な場合
なぜか戸籍によって名前が違っている場合(誤記?)
出身地が遠く、取り寄せにも時間がかかる場合


そして、なんとか取り寄せた後、それらの戸籍を元にして、相続人の確定をしますが、民法上の法定相続人の定めを知らない方も結構いますし、知っていても、養子縁組が複雑になされているなど、戸籍を読んでも判断が困難なことも。

例えば、昔は、兄弟を養子にすることがありました。また、養子にした兄弟が亡くなった場合、別の兄弟を養子にし、その上、亡くなった兄弟の配偶者と後に養子になった兄弟を結婚させるなど、非常に複雑な養子縁組が行われていました。
この場合、誰が法定相続人なのか判断するだけでも一苦労です。専門家でない方がこの判断をするのは極めて難しいと思います。


その他にも、

遺言書の確認
遺産の調査
(やみくもに探しても見つかるわけではなく、コツがあります)
負債の調査
(信用情報機関への開示請求やその他の資料で調査。見落としたら大変です)
被相続人に多額の借金があった場合、相続放棄をすべきか否かの判断
被相続人に対して債権を持っていると主張する者が現れた場合の対応の仕方
(対応の仕方によっては、相続放棄できるものも出来なくなります)
遺産分割協議書の作成
(専門家から見ると不備があることも多々)
相続税の申告

などなど。

自分の家族は遺産分割の争いにはならないし、単に手続きをするだけだと考えているご家族でも、やることは多く、手続きは煩雑で、法的知識・判断・経験が必要な場合も多いのが現実です。



3 専門家を活用するメリット
 
以上のような調査・手続きを、仕事や家庭を持ちながら、相続放棄の期限(3ヶ月)、相続税の申告期限(10カ月)までにスピーディーに、かつ、間違いがないように行うのはかなり大変なことです。
弁護士などの専門家に依頼してしまえば楽ですし、そうでなくとも、手続きの流れや調査の仕方などについて専門家に相談することをお勧めします。

自分で本を読んでも、間違って理解することは多く、それが原因で後々トラブルになることもありますので。


今日は、相続の手続きの難しさについて書いてみました。


白土文也法律事務所は、遺言・相続などの個人の法律問題、中小企業・ベンチャー企業の法律問題を中心に取り扱っております。
調布・稲城・府中・狛江・三鷹など多摩地域・京王線沿線、世田谷区その他の東京23区、茨城県、神奈川、埼玉、千葉その他の関東各地からの法律相談を受け付けております。
※特に、出身地の水戸・ひたちなか市周辺へは出張相談も積極的に行ないます。
詳しくはこちらまで
http://www.shirato-law.com/




posted by bunya-shirato at 09:00| 相続

2015年04月19日

相続が争族になる場合(家督相続という考え)

1 人が原因で争族になる場合

以前、財産のほとんどが不動産の場合は、争族になりやすいという話をしました。
これは、財産が分けづらいために争族になる場合ですが、人が原因で争族になることもあります。

いろいろとありますが、まずは、相続に対する考え方の違いが原因になる場合についてお話します。



2 家督相続と現行民法

現行の民法では、相続人である子供たちの間に法定相続分の違いはなく、平等です。

※嫡出子と非嫡出子間には法定相続分に差がありましたが、最高裁の違憲判決後、民法が改正されて平等とされています。ただし、改正民法は、平成25年9月5日以後に開始した相続について適用されます。

例えば、父親が亡くなり、母親と長男・次男・長女が相続人の場合、法定相続分は、母親が2分の1、長男・次男・長女は、それぞれ6分の1ずつ、母親がすでに亡くなっている場合は、長男・次男・長女それぞれが3分の1ずつということになります。

このように現行の民法では、子供たちの間に相続分の差はなく、家を継ぐ者が単独で相続するという扱いにはなっていません。
 
しかし、法律の定めとは異なり、長男が家を継ぐべき、遺産の多くは家を継ぐ長男が相続すべき、という考えを持たれている方もいらっしゃいます。

戦前は、家督相続の制度があり、長男が単独で相続していました。その影響で、法律が変わった現在でも、ご高齢の方や地域によっては、このような考えを持たれている方もいます。

また、被相続人だけでなく、相続する側の子供、具体的には、長男が、家督相続的な考えを持っている場合もあり、その場合は、争族になる可能性が極めて高くなります。



3 長男対その他の兄弟姉妹

長男が家を継ぐという考えは、日本においては、長い間続いてきた考えであり、そのような考えがダメということではありません。
しかし、法律の定めはあくまでも平等とされており、長男が遺産を独り占めしようと思っても、長男以外の兄弟姉妹は、平等に分けることを主張してきますし、それは法律上当然の権利です。

家を継ぐのは自分であり、単独で相続するという考えにこだわる場合、そもそも話し合いにならないこともあり、この場合、相続人間の遺産分割協議ではまとまりませんので、家庭裁判所での調停を利用して解決を図らざるを得ないことになります。
  
私が経験した案件でも、このようなケースがありますし、場合によっては、遺言を無視して長男が独占しようとするケースもあります。

このように、そもそもの考えが異なる場合は、財産が分割しづらいことが原因で争族になる場合よりも、人の考えに起因する問題ですから、話し合いによる解決は難しくなる傾向にあります。




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posted by bunya-shirato at 11:26| 相続